【デュールフィーガル霊化呪法】
(アルフレイム大陸各地・魔術師ギルド)- 入門条件
- ソーサラー技能7レベル&コンジャラー技能7レベル&50名誉点
一般的な人族の肉体は、魔法の行使者としてはけっして理想的ではありません。これは、かつての魔法王たちがハイマン研究(⇒『AR』50頁)に、より多くのマナと、より高い魔力を望んだことからもあきらかです。
【霊化呪法】は、そうした肉体の制約を限定的ながらに解除することで、より高度に魔法を行使しよう――という試みです。
具体的には、あえてみずから死に近づくことで、術者の魂やマナがもつ肉体との結びつきを希薄化する、というアプローチをとります。この理論では、この一種の覚醒作用を、“霊化状態”と呼びます。霊化により、理想にいくらかちかい状態での魔法行使が可能となります――死の危険と引き換えにではありますが。
【霊化呪法】の祖先にあたる技法は魔法文明のころに存在していたようですが、それが整理されたのは、魔動機文明時代のことです。
研究者デュールフィーガルは、魔法王デュランディルの末裔を自称し、遺失した古代語魔法の探究に邁進していました。【霊化呪法】は、その中で発見されたいくつかの技術を統合し、理論化したものです。このとき、魔動機文明らしく、(比較的にですが)安全で安定的に技術をあつかうための工夫として、霊化の危険を低減する〈繋魂の首飾り〉があわせて開発されました。
上記のように、デュールフィーガルは研究者として非常に優れた人物で、多くの成果をあげてもいましたが、魔動機文明時代にはあまり高く評価されませんでした。その理由は、古代語魔法は個人の才覚に依存し、時として危険で制御不能な結果をもたらしかねないものである……という、当時の主流だった考えによります。このため、デュールフィーガルの研究内容は、実用的な魔法理論というよりは、考古学の一種として認識されていました。
風向きが変わったのは、〈大破局〉でのことです。
〈大破局〉において、蛮族たちは計略を弄し、人族の魔動機の多くを鹵獲し、あるいは暴走させました。
奇しくも魔動機こそが“危険で制御不能”な代物へと陥ったとき、デュールフィーガルは、研究者ではなく魔導師として立ち上がりました。そして、【霊化呪法】を含むいくつかの研究成果に立脚した、圧倒的な魔法行使能力によって、蛮族の攻勢をいくつも退けたのです。
デュールフィーガル本人は戦いの中で命を落としましたが、かれに窮地を救われた者たちは、デュールフィーガルのおこなってきた研究への評価を改めました。
〈大破局〉が終結したのち、そうした者たちによってデュールフィーガルの研究成果が見直され、現在では魔術師ギルドの内部でも一定の重要視をされています。
危険性のある技術には違いないため、【デュールフィーガル霊化呪法】は誰にでも開示されているものではありません。ですが、十分な研鑽を積んだ魔導師には学ぶことが許されており、かれらにとり強力な武器となっています。
流派装備
この流派には、〈繋魂の首飾り〉というアイテムが存在します。この品がなくとも流派の技をあつかうこと自体は可能ですが、非常に大きな死の危険がつきまとうことになってしまいます。
名称 | 知名度 | カテゴリ | 価格 | 概要 |
---|---|---|---|---|
繋魂の首飾り | 15 | 装飾品:首 | 7,000 +50名誉点 | 「霊化状態」による生死判定ペナルティを無視 |
秘伝
この流派データの運用は、秘伝魔法【アストラルシフト】【アストラルシフトⅡ】によって「霊化状態」の段階を進め、それを条件とする各種の秘伝を適用したうえで攻撃的な魔法を行使する、というのが基本形です。
《デリリアムキャストⅠ》
《デリリアムキャストⅡ》
- 必要名誉点
- 30
100
- タイプ
- 《バイオレントキャストⅠ》変化型
《バイオレントキャストⅡ》変化型
- 前提
- 秘伝魔法【アストラルシフト】
《デリリアムキャストⅠ》
- 限定条件
- 霊化状態Ⅰ~Ⅲ、真語魔法or深智魔法
- 使用
- 魔法使い系技能
- 適用
- 1回の魔法行使
- リスク
- なし
- 概要
- ダメージ魔法の魔力+1~3
- 効果
マナに親和した状態で魔法を唱え、その効力を高めます。
直接にダメージを与える効果の、真語魔法・深智魔法の行使について宣言・適用する秘伝であり(基礎特技とは異なり、ダメージ以外の追加の効果があっても有効です)、「霊化状態Ⅰ~Ⅲ」のいずれかでなければ宣言できません。
適用された魔法の行使において、魔力が本来よりも高いものとして解決します。具体的には、秘伝の下位/上位と「霊化状態」の段階によって変動し、次のとおりです。秘伝 段階 効果 《デリリアムキャストⅠ》 霊化状態Ⅰ~Ⅲ 魔力+1 《デリリアムキャストⅡ》 霊化状態Ⅰ 霊化状態Ⅱ 魔力+2 霊化状態Ⅲ 魔力+3 (この秘伝自体に「リスク」はありませんが、「霊化状態」によって生命抵抗力判定および生死判定にペナルティ修正が与えられていることには留意してください)
《レックレスキャストⅠ》
《レックレスキャストⅡ》
- 必要名誉点
- 40
60
- タイプ
- 《クリティカルキャストⅠ》変化型
《クリティカルキャストⅡ》変化型
- 前提
- 《デリリアムキャストⅠ》
《レックレスキャストⅠ》
- 限定条件
- 霊化状態Ⅱ~Ⅲ、真語魔法or深智魔法
- 使用
- 魔法使い系技能
- 適用
- 1回の魔法行使
- リスク
- なし
- 概要
- 基礎特技の効果に加えて威力+10~15、《ターゲッティング》《鷹の目》《魔法収束》《魔法制御》無効
- 効果
暴走寸前の状態でマナを解き放ち、細やかさと引き換えに魔法の威力を高めます。
直接にダメージを与える効果の、真語魔法・深智魔法の行使について宣言・適用する秘伝であり、「霊化状態Ⅰ~Ⅲ」のいずれかでなければ宣言できません。
基礎特技の効果に加えて、その魔法の威力を+10します(威力の上限は「100」です)。霊化状態Ⅲなら、代わりに「+15」します。
ただし、その魔法行使においては、《ターゲッティング》と《鷹の目》がないものとして対象決定をせねばならず(「形状:射撃」ならば誤射の可能性もありえます)、《魔法収束》《魔法制御》を宣言できなくなります。深智魔法【ロックオン】も無効であり、それ以外にも、これらの戦闘特技に相当するような効果は、すべて無効です。
(この秘伝自体に「リスク」はありませんが、「霊化状態」によって生命抵抗力判定および生死判定にペナルティ修正が与えられていることには留意してください)
《レゾナントキャスト》
- 必要名誉点
- 100
- タイプ
- 《ダブルキャスト》変化型
- 前提
- 《デリリアムキャストⅡ》
《レックレスキャストⅡ》
- 限定条件
- 霊化状態Ⅲ、真語魔法or深智魔法
- 使用
- 魔法使い系技能
- 適用
- 1回の魔法行使
- リスク
- なし
- 概要
- 10レベル以下の魔法を2連続で行使。1回目の魔法に適用した秘伝は追加の行使にも有効
- 効果
鋭敏化した感性のもと術式を再利用し、魔法の効果を連続してあらわします。
主動作として魔法を行使するときに宣言します。ただし、これを宣言できるのは、真語魔法または深智魔法の、10レベル以下の魔法にかぎられます。
この秘伝の宣言をおこないつつ主動作で魔法を行使したなら、追加でもう1回、同一の魔法を行使できます。この追加の魔法行使には、あらたに特技や秘伝を宣言することはできませんが、《デリリアムキャストⅠ~Ⅱ》または《レックレスキャストⅠ~Ⅱ》が直前の魔法に適用されていたならば、追加の魔法行使にも、それらの効果が適用されます。
(基礎特技と異なり、追加の魔法行使に、魔力の低下はともないません)
(この秘伝自体に「リスク」はありませんが、「霊化状態」によって生命抵抗力判定および生死判定にペナルティ修正が与えられていることには留意してください)
秘伝魔法
これらは、すべて操霊魔法です。
- 2
- ≫【アストラルシフト】
- 必要名誉点
- 20
- 消費
- MP3
- 対象
- 術者
- 射程/
形状 - 術者/
―
- 時間
- 一瞬/
20秒(2ラウンド)
- 抵抗
- 任意
- 概要
- 「霊化状態」となる、あるいは、「霊化状態」の段階を進める
- 効果
術者は「霊化状態Ⅰ」となります。すでに「霊化状態Ⅰ/Ⅱ」であったなら、代わりに、持続時間を更新したうえで「霊化状態Ⅱ/Ⅲ」となります。すでに「霊化状態Ⅲ」であったなら、代わりに、持続時間のみが更新されます。
「霊化状態」のあいだ、術者は、魔法行使全般(系統を問いません)における消費MPが増大し、真語魔法・深智魔法の“直接にダメージを与える魔法”によって与えるダメージが増加され、生命抵抗力判定と生死判定にペナルティ修正を受けます。それぞれの具体的な数量は、「霊化状態」の段階によって変動し、次のとおりです。段階 魔法の消費MP 真語・深智魔法ダメージ 生命抵抗力判定 生死判定 霊化状態Ⅰ +2 「+1」点 -2 -15 霊化状態Ⅱ +5 「+2」点 -3 -30 霊化状態Ⅲ +10 「+3」点 -4 -45 消費MPの増大は、《MP軽減/**》などによる軽減よりも前に適用します。重ねて使用する場合においては、この魔法自体の消費MPも増加することに注意してください。
「霊化状態」はこの魔法によってもたらされるものですが、「霊化状態」そのものは魔法ではなく、【ディスペル・マジック】をはじめ、【パーフェクト・キャンセレーション】を含むいかなる手段によっても強制的に解除されません。
効果時間が終了するか、術者が気絶や死亡によって意識を失ったとき、解除されます。
この魔法は、1ラウンドに1回しか行使できません。【アストラルシフトⅡ】とは、この回数制限を共有しません。
- 7
- 【アストラルシフトⅡ】
- 必要名誉点
- 50
- 消費
- MP3
- 対象
- 術者
- 射程/
形状 - 術者/
―
- 時間
- 一瞬/
20秒(2ラウンド)
- 抵抗
- 任意
- 概要
- 「霊化状態」となる、あるいは、「霊化状態」の段階を進める
- 効果
【アストラルシフト】と同様の効果をもちますが、補助動作では行使できない魔法です。
この魔法は、1ラウンドに1回しか行使できません。【アストラルシフト】とは、この回数制限を共有しません。
(主動作または《ダブルキャスト》による追加の魔法行使などでこの魔法を行使し、「霊化状態」の段階をより早く進める、という使い方を想定した魔法です)
- 15
- ≫【アストラルマスター】
- 必要名誉点
- 100
- 消費
- MP10
- 対象
- 術者
- 射程/
形状 - 術者/
―
- 時間
- 一瞬/
10秒(1ラウンド)
- 抵抗
- 任意
- 概要
- 《ルーンマスター》で3回の宣言が可能となるが、うち2回はこの流派の秘伝にかぎられる
- 効果
マナに深く親和した状態を活かし、より高度で複雑な魔法行使を可能とします。
この魔法は、「霊化状態Ⅲ」のあいだのみ行使できます。術者が「霊化状態Ⅲ」でなくなったならば、ただちにこの魔法の効果は消滅します。
効果時間中、術者の習得している《ルーンマスター》の効果は、「1ラウンドに2回」が「1ラウンドに3回」へと置き換わり、「少なくとも1つは「使用:魔法使い系技能」のもの」が「少なくとも2つは【】の秘伝」へと置き換わります。