聖印と神像

ケルナイの聖印は、トゲ付きの鉄球を模したものです。たいていはそれを平面的に意匠化したものや、図柄として彫り込んだものをもちいますが、まれに“トゲ付きの鉄球”を立体的なミニチュアとして再現したものを聖印とする者もいます。
神像は、フレイルを掲げた女性の姿で作られることが主です。柵や蛮族などにフレイルを振り下ろしていることもあります。

神格と教義

自由と解放を重んじ、そのための戦いを奨励する神格です。

かつての〈大破局〉は、全体としては人族の勝利というかたちで終わったものの、局所的に見るとそのかぎりではありませんでした。蛮族によって攻め滅ぼされた都市や国々は枚挙にいとまがなく、多くの人族が殺され、あるいは奴隷として虐げられることとなりました。
そうした人族奴隷のひとりであった少女ケルナイは、苛酷な日々の中でも、希望を失いませんでした。命令に従うかたわらで、蛮族の動向を注意深く探り、ひそかに脱出のチャンスを図っていたのです。
数年ののち、ついに好機を得て、幾人かの奴隷仲間を率いてケルナイは決起しました。ここで特筆すべきは、蛮族の武器を盗み出して、それを振るって蛮族に抗ったことです。このときもちいたのはイグニダイト製の武器だったと言われ、その破壊力は蛮族に対しても覿面だったと伝わります。
ケルナイによる反攻は成功し、彼女と奴隷たちは自由を手にしました。この功績を認められ、“太陽神”ティダンによってケルナイは小神へと引き上げられました。

この神の教えでは、圧政や束縛を悪徳とし、それを脱するための努力を美徳としています。信徒はけっして多くはないものの、奴隷出身者や、ナイトメアなどの被差別的立場にある者が信仰する例が、少数見られます。ケルナイのみを奉じる神殿は一般的には存在せず、もっぱらティダン神殿に場を間借りするかたちで、礼拝や祈祷がなされます。

格言

「ただ耐えるにあらず、機を窺え」

「勇者には勝利と自由を。圧制者には報いと死を」

「槌をとり、しがらみを砕け」