【アシェンシールド前線指揮論】
(ドーデン地方・ゴケルブルグ大公国)- 入門条件
- ウォーリーダー技能&50名誉点
ゴケルブルグ大公国(⇒『ドーデン博物誌』62頁)には、複数種類の軍事力が存在します。具体的には、拠点防衛に長けた“灰盾騎士団”、機動戦に長けた“黒槍騎士団”、そして遊撃戦力として位置づけられる冒険者たちです。
個々は独立した戦力ではあるものの、大規模な作戦においては、必要に応じてこれらのうち複数が協働することになります。
そうした状況でむずかしいのが、全体の指揮と、集団間の連携です。ふたつの騎士団はともに大公を最高司令官としますが、実働上の部隊や軍団の次元では、指揮系統が切り離されています。ましてや冒険者たちともなれば、騎士団とことなり顔ぶれは一定ではなく、往々にして個人主義的で、小集団ごとに戦法や得手不得手もまったくばらばらですらあります。
【アシェンシールド前線指揮論】は、そのような混沌を軍師のもとに整理して統率し、効果的に軍団として運用するための軍事的方法論です。
この理論は、ふたつの騎士団が発足されたころに端を発し、時代をくだりながら戦訓と情勢の変化を反映しつつ、現在にいたるものです。
その根幹にあるのは、“戦場の全容を軍師が掌握し、戦況の推移に応じて流動的に采配していく”という思想です。これは“言うは易し”の典型であり、一般的な軍師ではとうてい実現できません。この理想を現実のものとするために、ゴケルブルグの部隊指揮官は、徹底して各種の理論を叩き込まれます。上位の指揮官ともなればその知識量はすさまじく、あらゆる軍事的知識を有するかのごとく見えるほどです。
また、知識のみならず、実際の兵員について詳しく知ることも必要であり、ひととおりを学んだ後でも不断の努力を求められます。
膨大な努力の甲斐あって、現在のゴケルブルグ軍部では、【アシェンシールド前線指揮論】は現実のものとして運用されています。
この技術体系は、ゴケルブルグの大公家の名である“アシェンシールド”を冠してはいるものの、大公家に閉じたものではなく、むしろ騎士団上層部などにはすくなからず浸透しています(習熟の度合いは、ひとそれぞれですが)。
ゴケルブルグでは冒険者も都市防衛力の一翼に数えられることもあり、一定の実績を示した冒険者には、【前線指揮論】を学ぶことが認められています。柔軟性を重んじるこの技術は、冒険者にも適するところがあり、とくに理論派の軍師たちには一定の支持を受けています。反面、かなりの“座学”が不可欠となるため、感覚派の者たちには好まれません。
流派装備
この流派には、ウォーリーダー技能にかかわるアイテムデータが2種、存在します。いずれも秘伝と直接の関係はなく、独立的に機能します。
名称 | 知名度 | カテゴリ | 価格 | 概要 |
---|---|---|---|---|
アシェンシールドの戦旗章 | 7 | 加工 | 3,000 +50名誉点 | ウォーリーダー技能による先制判定や鼓咆の使用に恩恵をもたらす |
アシェンシールドの初等軍事教範 | 7 | 冒険者技能用アイテム | 8,000 +30名誉点 | ウォーリーダー技能をもちいていくつかの判定が可能となる |
秘伝
《広大無辺な視野》《臨機応変な対応》は、ウォーリーダー技能と適切な前提特技を習得していれば、誰にでも活用できます。
《慧眼無双な統率》は、騎芸【騎乗指示】にかかわる効果であり、ライダー技能で当該の騎芸を習得することが前提となっています。
《広大無辺な視野》
- 必要名誉点
- 50
- タイプ
- 常時型
- 前提
- 《鼓咆陣率追加Ⅱ》
- 限定条件
- ―
- 使用
- ―
- 適用
- ―
- リスク
- ―
- 概要
- 専用の陣率を使用可能になる(《鷹の目》相当の効果を得る)
- 効果
優れた戦術眼で、戦場内の出来事をつぶさに捉えます。
習得者は、専用の陣率【陣率:無辺なる視野】を使用できるようになります(これは、この秘伝を習得した時点で使用可能となるものであり、ウォーリーダー技能レベルの上昇によって獲得する必要はありません)。
《臨機応変な対応》
- 必要名誉点
- 30
- タイプ
- 独自宣言型
- 前提
- 《高度な柔軟性》
- 限定条件
- ―
- 使用
- ―
- 適用
- ―
- リスク
- なし
- 概要
- 味方陣営の手番内の任意の時点で鼓咆を使用できる
- 効果
注意深く状況を見極め、指示を出すタイミングを図ります。
習得者は、味方陣営内の手番内で任意の時点で鼓咆を使用できます。そうするとき、この秘伝を宣言しなければなりません(=宣言の権利を1回ぶん必要とします)。
これによる鼓咆の使用は、他のキャラクターの手番の最中に割り込むことはできず、いずれかのキャラクターの手番の直前か直後にかぎられます。
この秘伝をもちいても、「1ラウンド1回」という鼓咆の使用回数にまつわる制約は逸脱できません。つまり、この秘伝をもちいて鼓咆を使用したラウンドには通常の鼓咆の使用をできず、逆も同様です。
《慧眼無双な統率》
- 必要名誉点
- 100
- タイプ
- 独自宣言型
- 前提
- 【騎乗指示】、ウォーリーダー技能10レベル
- 限定条件
- 〈戦旗槍〉
- 使用
- ―
- 適用
- 1回の【騎乗指示】
- リスク
- なし
- 概要
- 【騎乗指示】を補助動作で使用 or 範囲を指揮範囲まで拡張
- 効果
軍師としての能力を活かし、騎乗での指示を効果的におこないます。
騎芸【騎乗指示】の使用1回について宣言・適用する秘伝です。この秘伝の効果を得るには旗をもちいた指揮が必要であり、〈戦旗槍〉(⇒『MA』23頁)を装備ないし保持していなければ、宣言できません。
宣言時に、下記からいずれか一方の効果を選び、【騎乗指示】に適用します。Ⓐ補助動作化
その【騎乗指示】は補助動作で使用できます。ただし、効果量は「+1」に低下します。
Ⓑ範囲拡張
その【騎乗指示】は、「指揮範囲」(⇒『MA』20頁)に等しい範囲をもちます。
(もし習得者の冒険者ランクが〈ブロードソード〉以下である場合は、この選択は有益な結果をもたらしません)